2015年 03月 08日 ( 1 )

被写体

 数刻後には消え去っている光の存在をまず目が見つけ次いで心が引き寄せられる。そしてカメラと言う器の中に入り込んだ光りがワシのイメージとシンクロして外界に放出される事によってだけ被写体はここで知られる事になる。

 未来永劫、今のこの光に照らされた被写体は見る事が出来ないのだ。

 被写体に注がれる日光も輪郭を揺らす優しい風も濃密な空間に浮かび上がる今だけこの様子が留まってそこに在る。そんな情景の一切がワシの身体の中に入りカメラの中に入りネットの中にも入り込む様は、まるでイメージが感染して行くような印象を持ってしまう。

 ネットに載った被写体を眺めているとまったく淡々と視ていた単なる風景だったはずの撮影時のあの寒々とした鋭角な空気感と、埃にまみれた道端の残雪や背中を丸めて足早に行く中年女性や喫茶店の中から窓ガラスを通して外の冷たさに愛想を尽かしている初老の客の目や、ブロック塀の影からワシを伺っている野良猫などが突然に親しみを持って現れ、実はそれらは町の一部であり同じ生活空間に暮らすワシの一部でも有りうるのだと納得させられてしまう。

 そしてそれらは実はとても美しいのだと知る事になる。

 すると淡い情熱を薄々と感じ、次はそんなようなスナップを撮ってみたいと痛烈に思ってしまう。ワシはそんなことの繰り返しで被写体を得ていたのではないかと思う。このような事があるとあの時、感情の一切合切が無くなってしまった方がどれだけ生きやすいかと言い放ったのを恥じ入り赤面してしまうのだが、感じられる事の破廉恥さを喜ぶべきなのだなぁと思った。

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by ride-t | 2015-03-08 10:23 | 写真部 | Trackback | Comments(2)

バイクとか写真とか介護などをして暮らすオッサンのブログ


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